働き方インタビュー
お客さまの新製品開発に
鉄鋼のプロとして並走し続けたい
鉄鋼流通のプロとして、ものづくりの現場を支える
広島県の高校を卒業後、マツダの部品メーカー勤務を経て、22歳のときに知人の紹介で改組前の大野興業に入社しました。配属地は、神奈川県綾瀬市の支店・工場。それまでの人生で県外に出た経験がなかった私は、「都心で働ける」ということに大きな魅力を感じたのを覚えています(笑)。きっかけはその程度のものでしたが、かれこれ25年ほど、鉄鋼ビジネスに携わっていることになります。幅広い取り扱い製品の中でも、ここ10年ほどはステンレスを中心に担当しています。
約15年前に、実は一度、建築関係の企業に転職して職人を目指したほど、ものづくりが大好きです。精密機器メーカーのクリーンルーム(防塵室)を設計・施工する会社で、現場監督の免許まで取得しました。2008年に、改組後の大野興業に再度入社することになりましたが、常にものづくりの現場に寄り添い、鉄鋼流通のプロとしてアドバイスをさせていただく仕事に強いやりがいを感じています。より良いもの・新しいものを生み出すために、適切な材料や加工方法についてお客さまと意見を交わすのは、どれだけ年次を重ねても、いまだにワクワクしますね。
お客さまの新製品開発を支える「提案型営業」
長年お付き合いくださっているお客さまの中でも、特にプロジェクト規模の大きいお客さまのひとつに、自動車部品メーカーの東京濾器さんがあります。鉄を用いる部品は大西(取締役 大西信真司)、ステンレスを用いる部品は私と、素材別に分業して対応しています。日本全国にある東京濾器さんの協力会社と連携し、材料の仕入、品質管理、納期管理など、生産を滞りなく行うために必要なあらゆる段取りを整えるのが、私たちの仕事です。必要な材料をメーカーから仕入れて卸す、いわゆる「商社」の業務範囲を超えて、お客さまをサポートしています。お客さまのビジネス展開に合わせて、事業範囲が国境を越えることも。2011年に東京濾器さんがタイに工場を新設したのに合わせて、翌2012年に現地法人を立ち上げました。立ち上げメンバーとして携わった後、2013年8月までの約1年半、現地に赴任しました。海外で仕事をするのは初めての経験でしたが、躊躇する気持ちは不思議とありませんでしたね。帰国後も2年ほどは、日本とタイを行ったり来たりしていました。
営業担当の日常業務としては、リピート品への確実・迅速な対応が大変重要ですが、大野興業が真価を発揮するのは、お客さまの新製品開発をお手伝いするときだと考えています。開発が始まる前に情報をいただき、試作の段階からご一緒して、鉄鋼のプロフェッショナルとして使用する素材や加工方法をご提案するのです。鉄鋼メーカーの技術者に同行してもらって、既存の製品ラインナップを超えたご提案をすることも少なくありません。この取り組みが奏功し、いざ量産化する際には当社に素材・製品を発注いただくケースが大変多いですね。直近でも、あるお客様の案件で数年ほど前から試作をご一緒してきた新製品がいよいよ量産開始となります。この新製品の生産を担う、新たな協力会社の生産体制の構築を含めてお手伝いしてきた大型案件ですので、感慨深いです。
お客さまの新製品開発を支える「提案型営業」
新製品開発プロジェクトにあたっては、さまざまな拠点や部門とコンタクトをとりながら要望を伺い、各種段取りを進めます。工場は相模原・草津・広島など全国各地に広がり、部門は商品開発・購買・生産・品質管理と多岐にわたります。どなたからも、ステンレスに関わることであれば最初に私に連絡をいただけるような関係性づくりを大切にしています。金属加工の現場にトラブルはつきもの。納品した製品の厚みが少し違うだけで、加工が上手くいかなかったりします。ですから、お客さまからの相談ごとにはできる限り迅速に回答する。大小さまざまなトラブルを一緒に乗り越えていく――その積み重ねによって「高村に相談すれば、何でも応えてくれる」と信頼される存在を目指し続けたいですね。大手商社では、転勤などによって担当者が頻繁に変わるところも多いと聞きますが、大野興業は担当者の変更がほとんどありません。お客さまのニーズや事情に、お客さま以上に詳しくなっていくので(笑)、お客さま側に新しいご担当者が入られたときにも頼っていただけます。
電気自動車の普及などを背景に需要が増している精密部品では、1000分の1ミリレベルの違いで加工が上手くいかないことがあります。材料に要求される精度がどんどんシビアになってきており、私たちはそのニーズにきめ細やかに応えていかねばなりません。明治30年からお客さまや取引先から必要とされ続けてきた歴史を、今後も受け継いでいきたい。時代の変化に伴って必要な製品が変わっても、その製品の手配をご相談いただく先は、変わらず大野興業であってほしい。そのためには、次世代を担う営業パーソンの育成も、私の重要なミッションだと考えています。現在51歳なのですが、営業事務を除くと、私が社内最年少なんです(笑)。大野興業の営業パーソンに、類まれなスキルは必要ありません。お客さまのビジネスに関心を持って、ビジネスパートナーとしての関係性構築に真剣に取り組める人。トラブルが発生したときに受け止め・乗り越える強い精神を持って、お客さまと挑戦を重ねていける人。そんな人材を育てていきたいですね。